【レビュー】祇:Path of the Goddess – 独創的な“和”の世界観が光るカプコンの新作【感想】
カプコンが珍しくリアルタイムストラテジー要素のあるゲームをリリースしました。しかも本作のディレクターは同社の隠れた名作「深世海 Into the Depths」を手がけた川田脩壱さんです。
これはもう、プレイする以外の選択肢はないでしょう!
…ということで本作をプレイした感想を綴っていきたいと思います。
作品紹介
「祇:Path of the Goddess」は独創的な“和”の世界観の中で、 「アクションと戦略」を楽しむシングルプレイ専用の神楽戦略活劇です。
ジャンルとしては、アクション、タワーディフェンス、リアルタイムストラテジーの3つのゲームの要素が融合した作品となっています。アクションとリアルタイムストラテジーを組み合わせたゲーム性は、カプコンとしても新しい試みです。
穢れに覆われてしまった山村を舞台に、昼には村の浄化と迎撃の準備をし、夜には襲いかかる異形を鎮め、巫女を護るのがゲームの目的です。カプコンのタワーディフェンスと聞くと、少し微妙だった某作品の百竜夜行の記憶が蘇ってきて、不安になる方もいるかもしれません。そんな方には、まず配信されている体験版を事前にプレイすることをお勧めします。
1周をクリアした私の感想ですが、良いゲームではあるものの、私が期待していたゲーム性とは少し異なっていました。
YouTubeで動画も公開していますので観てみてくださいね♪
【クリアレビュー】あかりちゃんが「祇:Path of the Goddess」を紹介したい【VOICEROID実況】
■ レビュー執筆時の情報
発売元/開発元:カプコン
配信日:2024年7月19日
ジャンル:神楽戦略活劇
対応機種:PlayStation 4 / PlayStation 5 / Steam / Xbox Series X|S
プレイハード:Xbox Series X
プレイ時間:27時間
プレイ状況:クリア(1週目)
価格:4,990円(ダウンロード版)
[Very Good] 独創的な“和”の世界観
本作の最大の魅力は独創的な“和”の世界観です。
本作の主人公は、山の巫女の護人である"宗"です。彼は伝統的な和装を身にまとい、お面をかぶっています。神楽において、お面は演じるキャラクターの性格や感情を視覚的に表現する重要な要素です。ゲーム内でも、このお面の力を借りて宗や村人を強化することができます。お面の強化には産霊(むすび)が必要で、産霊は生命や事象の誕生を意味しています…と、このように世界観の深堀りが終わりません。
他にも様々な箇所に和の雰囲気が徹底されています。例えば、巫女の世代の嗜好品には、四季を彩る日本の伝統的な御菓子が登場します。なんと、日本の伝統的な和菓子の製造・販売を行う京都の老舗和菓子屋「鶴屋吉信」の御菓子が3Dスキャンを使って再現されており、見てるだけでよだれが止まりません。
個人的に感動したのは、夜に襲ってくる魑魅魍魎(畏哭)のビジュアルです。どの畏哭も凝ったデザインで、開発者の拘りが感じられます。餓鬼入道、百足女郎、つるべ落としといった、日本の伝説や民話に出てくる妖怪たちがボスとして登場します。倒した畏哭は拠点の絵馬を調べることで、鑑賞することもできますよ。
拠点内の天幕画面も拘りが凄いです。この画面ではセーブ、村人の強化、御菓子、鍔の装備、魔像の装備、絵巻の閲覧など、様々なことができますが、デザインが凝りすぎていて、最初はどこで何ができるのか戸惑ってしまいました。
「深世海 Into the Depths」の世界観も素晴らしかったのですが、本作の世界観には圧倒されました。
[Bad] 果たしてACT×TD×RTSは面白いのか?
気になった点はゲーム性の部分です。色々なジャンルを組み合わせたことが、面白さに上手く繋がっていないとプレイして感じました。
マンネリを防ぐために、船の上で戦うステージや宗のアクションが封印されるステージなど、各シチュエーションを工夫しているのはわかりますが、それが「面白い?」と言われると正直微妙です。シチュエーションの変化が途中から"楽しい"ではなく“めんどくさい"という感情に変わってしまったためです。
2周目で真のラスボスとエンディングがあるのですが、そこまでプレイする気力が続きませんでした。魔像をコンプリートするには9周する必要があるのもマイナス点です。
私としては本作にタワーディフェンス要素を求めていました。「Orcs Must Die!」のようなゲームです。ただ、実際にプレイしたらアクションゲームだったのです。「これなら普通のアクションゲームでいいんじゃない?」って思ってしまいました。ずっとモヤモヤした状態で後半はプレイしていました。
複雑なゲーム性なので、具体的にどこが悪いかは言えなくて申し訳ありませんが、宗のアクションのウェイトが大きすぎることが私には合わなかったのかもしれません。
また村人に関しても「同じ職業は3人まで」などのユニットの制限があっても良かったのではと思いました。
[総評] 決して出来の悪い作品ではありませんが…
レビュー時のプレイ時間は27時間で、1周目までクリアしました。十分なボリュームです。
決して出来の悪い作品ではありませんが、私が求めていたゲーム性とは少し異なっていたため、2周目はプレイしていません。また、想像以上にストーリー性が薄かったのも残念なポイント。キャラクターに台詞が一切ないため、感情移入が難しく、物語の盛り上がりに欠けました。
次回作があるなら、アクション要素を抑え、タワーディフェンス要素を強化して欲しいと感じました。
DLCの予定はないとのことですが、2024年10月1日のアップデートで、ユーザービリティの向上や戦闘バランスの調整が行われました。細かい部分まで調整が入っており、以前より遊びやすくなっています。拠点にいる犬と猫の種類も増えました。アップデートの詳細については公式サイトをご確認ください。
総評:★★★☆☆
シナリオ:★★☆☆☆
ゲームシステム:★★☆☆☆
サウンド:★★★★☆
世界観:★★★★★
■ こんな人にオススメ!
・世界観(特に和の世界観)を重視する人
・少し変わったジャンルのゲームを遊んでみたい人
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