【レビュー】Twelve Minutes(12ミニッツ) – 時間内に何とかしないとウィレム・デフォーにひたすら殺されるADV【感想】

2021年11月4日

作品紹介

リアルタイムで物語が展開するトップダウン型のタイムループサスペンスADV! 妻と二人きりで過ごすロマンチックな夜に突如として押しかけてくるウィレム・デフォー! 

アパートの一室で繰り返される12分間に秘められた謎とは?

開発者のLuísAntónioはRockstar GameやUbisoftなどに在籍されていた方のようです。さすがにSteamの作品紹介にある「シャイニング」「裏窓」「メメント」は盛り過ぎだと思いますが「キューブ(1作目)」のような低予算でありながらアイデアに富んだ素敵な作品です。

 

■ レビュー執筆時の情報
プレイハード:Xbox Series X|S
プレイ時間:7時間49分(途中からネットで攻略を見ながらプレイ)
プレイ状況:実績コンプリート

価格:2,900円(ダウンロード版)

公式サイト / 公式Twitter / Microsoft Store

[Very Good] ウィレム・デフォー最高!

 

元々、アドベンチャーゲームが好きだということもありますが「どうやら作中にウィレム・デフォーが登場するらしい!」という情報を入手して早速ゲームスタート!

とりあえず包丁があったのできっとこれは後で使えるだろう…トイレに隠しておこう。次はパーティーの準備?冷蔵庫には何が入っているのだろう?壁に飾ってある絵は何か意味があるのかな?

…そんなこんなで時間が経過…お、なんか刑事が来たぞ!?

えぇぇ!?(やっと状況を理解する) …ウィレム・デフォー怖いよ!

■ ウィレム・デフォー
映画俳優。私は「処刑人」のFBI捜査官で一気にファンになりました ヾ(ω` )/

その他にもジェームズ・マカヴォイ(X-MENのプロフェッサーX)、デイジー・リドリー(スター・ウォーズのレイ)といった豪華俳優陣が声の出演を担当。開発者はアルフレッド・ヒッチコック、スタンリー・キューブリック、デヴィッド・フィンチャーといった映画監督の作品の影響を受けていて、本作にもその影響が所々に現れています。もう映画ファンならたまらない作品ですね。

 

シャイニングのオーバールックホテルで使用したカーペットパターンと一緒なのはリスペクトなのでしょう。

[Good] アイデアが勝ったゲームデザイン

 

とにかく本作はアイデアが素晴らしいと思いました!

舞台となるアパートは「リビング」「ベッドルーム」「バスルーム」の3部屋(とクローゼット)しかありません。この移動範囲の中で何らかの糸口を発見しないといけないわけです。これが逆にプレイヤーの恐怖を駆り立てることになるのですよ。あと5分で奴がくる…どうすればいいんだ!

■ 当初の計画では…
今よりもっと行動範囲も広く、24時間に渡るゲームを構想していたそうです。ですが、それはリソース厳しいということになり、場所も時間も縮小してのリリースとなりました。この方向転換によって面白さが凝縮されたと思います!

低予算化させたことで拘りたい部分(おそらくキャスト)は徹底的に拘るといった開発者の姿勢は個人的に高く評価したいと思います。お金をかけなくても面白いゲームは作れるんです!

[Bad] ゲームパッドでの操作に最適化されていない…

 

本作はポイントアンドクリック方式のアドベンチャーゲームとなっていますが、残念ながらゲームパッドでの操作に最適化されていない点が致命的です。

限られた時間内に必要な行動をする必要があること、そしてタイムループもの(必然的に同じ作業を繰り返すことになる)であるということが、ゲームパッドでの操作に最適化されていない点と非常に食い合わせが悪い。

「絶対に最後までネタバレは見ないぞ!」と意気込んで挑みましたが、さすがに操作性の悪さにフラストレーションが溜まって途中から攻略サイトを見てしまいました…。物語の核心に迫っていただけに少し後悔をしています(まぁ、攻略を見ながらでも海外ドラマを観る感覚で楽しめるので、気にしない人は詰まったら攻略を見るのを参照)。

[Bad] 絶対に自力では無理だと思うトゥルー(?)エンド

 

本作はマルチエンディングとなっていますが、物語の核心に迫るトゥルー(?)エンドに自力で到達するのは不可能に近いかと思います。あまりにもヒントが少ないのです。物語が一定の回数をループしたらゲーム中でヒントが表示されるなど、何らかの救済措置があったら良かったのになーって何度も思いました。そういった苦しんでいるプレイヤーを導いてくれる要素がないので各選択肢も最終的には総当たり感が強いなという印象を受けてしまいました。

面白い映画を作る人が面白いゲームを作れるわけではないし、その逆も然り。映画的な要素としては高く評価できますが、ゲーム的な要素としては改善の余地があるといったところでしょうか。

[総評] 操作性さえ目を瞑れば物語にどっぷり浸かれるADV!

 

やはりゲーム性の部分のマイナス面が…それ以外の部分が素敵だっただけに残念です。個人的には次回作で小島監督とタッグを組んで今のゲーム業界に一石を投じるような、そんなインパクトのあるゲームを作って欲しいですね (*´ー`*)

プレイ時間は7時間程度(攻略に頼らないともっと時間がかかる可能性が高いです)でした。週末に海外ドラマを観る感覚で遊ぶのがオススメです。

総評:★★★☆☆
シナリオ:★★★☆☆
ゲームシステム:★★★☆☆
サウンド:★★★☆☆
映画的要素:★★★★★

■ こんな人にオススメ!
・映画が好きな人(特に文中で挙げた監督の作品)
・海外ドラマが好きな人(特にサスペンス系)
・ADVが好きな人

補足 & 備忘録