ASRock B450M Steel Legendを最新BIOS 10.41へアップデート!

B450M Steel Legend BIOSアップデートのサムネイル

はじめに

普段は滅多に触ることのないBIOSアップデートですが、Windows 11対応とCPU換装のために実行したので手順と注意点をまとめました。私が前回BIOSを更新したのは何とSocket939時代――20年近く前です。

そもそもBIOSを更新すべきか?

現状が安定しているなら基本的に不要です。アップデートに失敗すると最悪マザーボードが起動しなくなるリスクがあります。

ただし、今回のように目的が明確なときは実施する必要があります。

  • Windows11対応(セキュアブートとTPM2.0の有効化が必須)
  • 新世代 CPU への換装
    Ryzen 5 2600 → Ryzen 7 5700Xへ換装する。
    シングル性能で約1.5倍、マルチ性能で約2倍のスペック向上が期待できる。
  • 動作が重いゲーム(例:エルデンリング ナイトレイン)を快適に遊びたい

事前チェック

私のパソコンの詳細スペックは下記の記事を参照。

◆ Windows11のシステム要件を満たすか確認

Microsoftの公式サイトから「PC正常性チェックアプリ」をダウンロードする。

実行結果では、セキュアブートとTPM2.0の対応が必要です。

 PC正常性チェックアプリの確認結果

◆ CPUの互換性の確認

マザーボードは「ASRock B450 Steel Legend」、CPUの互換性はASRockのCPUサポート一覧表から確認ができます。 今回はBIOS 10.41(2025-08-01公開)へアップデートを行います。

◆ ゲームの推奨スペックの確認

システム要件はSteamのストアページから確認できます。

下記の記事にて、私の環境はCPUがボトルネックとなっている可能性が高いことを確認済み。

※ 以前に『モンスターハンターワイルズ』でスペック確認をした時の記事

BIOSのアップデート手順

BIOSデータはASRockの公式サイトからダウンロードができます。メーカーサイトには下記のような記述があります。

  • アップデート手順をよく読んでね
  • BIOSをアップデートすると、すべての設定がデフォルトにリセットされます
  • システムが正常に動作している場合は、現在のBIOS/ファームウェアを維持することをお勧めします

ダウンロードページのバージョン2.60以降のBIOS(2019年8月6日)で気になる記述を発見しました。

ASRockは、システムでPinnacle、Raven、またはSummit Ridge CPUを使用している場合、このBIOSのアップデートを推奨しません。
(ASRock do NOT recommend updating this BIOS if you are going to use Pinnacle, Raven or Summit Ridge CPU on your system.)

調べてみたところ、バージョン2.60以降のBIOSは、「Ryzen 2000以前の CPU に向けた最適化の部分の一部を削って、Ryzen 5000以降へ最適化させている」ことが理由とのこと。全く動かないわけではなくて、あくまで非推奨ということですね。非推奨のCPUで新しいBIOSを利用すると、低負荷時に若干のパフォーマンスの低下や、アイドル時の電圧の向上、POST(起動時間)が長くなるなどの副作用が生じる可能性があります。

ただ今回は「AMD Ryzen 7 5700X」へ換装するため、BIOSのアップデートが必須となります。

メーカーサイトの手順を参照にアップデートを実施します。

  • ダウンロードしたBIOSファイルをFAT32でフォーマットしたUSBメモリへ保存する
  • POST中に「F2」を押して、BIOSセットアップメニューへ入る
  • BIOS画面の「Tool」から「Instant Flash」を選択する
  • 「Instant Flash」を選択すると「NOTICEウィンドウ」が表示されます
    BitLockerやTPMの回復キーを必ずバックアップすること。
    暗号化を使用していない場合は「Yes」を押して続行する。
  • 使用しているマザーボードに適合するBIOSバージョンが一覧表示されるので、適切なBIOSバージョンを選択して「Yes」をクリックする
    (BIOSの書き込みが開始される)
  • 処理が完了するとシステムが再起動されます
  • 再起動後、再び「F2」を押してBIOSへ入って、Exitメニューから「Load Default Settings」を選択して、初期設定を読み込む
  • 「Exit Saving Changes」を選択して、作業完了です

CPU換装時に遭遇した思わぬ落とし穴

今回のCPU交換に合わせて、付属(リテール)クーラーから市販の高性能クーラーへも乗り換えました。

選んだのは「Id-Cooling IS-40X-V3」というトップフロー型クーラーです。最後まで迷った「DEEPCOOL AK400 R-AK400-BKNNMN-G-1」は冷却性能こそ優秀ですが、高さが155mmあり、私のPCケースでは干渉する危険があったため断念しました。

 IS-40X-V3の付属品など

作業でハマったポイントはバックプレートの存在を失念していたことです。最近はリテールクーラーでさえ、マザーボードの裏面にバックプレートを当ててネジ止めする方式が主流です。今回は「マザーボードを外さずにサクッと換装」のつもりだったため、ケースからマザーボードを取り外す追加工程が発生し、予想外に時間を取られてしまいました。

実際にアップデート!

アップデート前のBIOS画面です。

 BIOS画面(アップデート前)

USBメモリからアップデートを実施。

 

アップデート時間は4分ほどかかりました。意外と長い。

  

アップデート後にハードディスクのブート設定がリセットされていたので、正しく設定変更。

 

アップデート後に発生したトラブルと対処

◆ fTPM 警告メッセージ

初回起動時に下記メッセージが表示されることを確認。

New CPU Installed, fTPM/PSP NV corrupted or fTPM/PSP NV structure changed.

これは、CPU でTPMに保存された暗号鍵が一致しなくなると出る定番アラートです。BitLocker (ドライブ暗号化)を使っていない環境ならYキーで続行して問題ありません。実際、その後は通常通りWindowsが立ち上がりました。

念のため、ケースを開けてCPUクーラーとグラフィックボードのファンが正しく回っているか目視で確認。ベンチマークは換装前後で取っていないので割愛します。

◆ 音が出ない(出力デバイスがS/PDIFのみ)

アップデート後は、Windowsのサウンド設定画面で、出力に「デジタルオーディオ(S/PDIF)」のみしか選択肢がない状態でした。デバイスマネージャー上は異常なし──となるとRadeon系ドライバが怪しいと推測。

 サウンド設定画面

これで音が出るようになりました。

◆ セキュアブートは未対応のまま

「PC正常性チェックアプリ」を再実行すると、TPM2.0はパスしたものの、セキュアブートが未対応判定のまま。

 PC正常性チェックアプリの確認結果(CPU換装後)

解決するためには、BIOSからセキュアブートを有効化させる必要があります。ASRockの公式手順によると「CSM」を無効させる必要があります。

ただし、CSMを切るとMBRでインストールされたSSDをBIOSが見失う恐れがあります。私のシステムディスクはLegacy BIOS+MBRで構築済みのため、今回はWindows 10 をあと一年使う前提でセキュアブート設定を保留しました。

セキュアブート

セキュアブートを有効化するには、UEFI+GPT形式が大前提。MBRのままでは起動しなくなるので、事前にGPTへ変換するか、クリーンインストールが必要となります。

 Diskpartのリスト画面

今回得た教訓

  • CPUクーラー選定は高さと固定方法をチェックしておく
    (最近はほとんどバックプレートで固定設置になっています)
  • TPMの警告は想定内
  • BIOSアップデートで音が出なくなったのは想定外
    (これはおそらく今回のBIOSアップデートに伴う変更内容が大きかったことが原因と推測)
  • セキュアブートはUEFI+GPTが必須
    (Windows10のサポートを延長して対応)

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Posted by amarcord