【レビュー】エンダーリリーズ – 奇跡の完成度! 元ネバカンスタッフが開発したメトロイドヴァニア【感想】
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全世界累計販売本数150万本(2024年6月現在)を突破した国産メトロイドヴァニア「エンダーリリーズ」のクリアレビューです。クリア後に「なぜもっと早くプレイしなかったんだ…」と私を後悔させた奇跡の完成度の作品。
作品紹介
「ENDER LILIES: Quietus of the Knights」は、日本のインディーゲーム開発チーム「Live Wire」と「Adglobe」が共同制作した2DアクションRPG。2021年に初リリースされ、Steam、Nintendo Switch、PlayStation、Xboxなど、さまざまなプラットフォームでプレイすることができます。
本作は「メトロイドヴァニア」スタイルの探索型アクションゲームで、「Hollow Knight」や「Bloodstained」に影響を受けて制作されました。
物語の舞台は、突如降り始めた「死の雨」によって、 生きとし生けるものが狂暴な生きる屍「穢者(けもの)」へと変わってしまった世界。滅びゆく世界の片隅、教会の奥深くで、唯一の生存者である少女が、男の呼びかけによって目を覚まします。
絶望の中、呪われた運命に抗う少女と黒衣の騎士。苦難を乗り越えた先に待つ物語の真相とは──。
■ レビュー執筆時の情報
発売元/開発元:Binary Haze Interactive / Live Wire, Adglobe
配信日:2021年6月21日
ジャンル:横スクロールアクションRPG
プレイハード:Xbox Series X
プレイ時間:24時間
プレイ状況:実績コンプリート
価格:2,728円(ダウンロード版)
[Very Good] ダークで幻想的な世界と心揺さぶるピアノの旋律
本作の最大の魅力は、美しい2Dアート、幻想的で哀愁漂う音楽、そして奥深いストーリーです。
ゲームの始めた直後は「えぇ!? テキストのみでボイスは無いのか…」と少し驚きましたが、すぐにその静寂こそが作品の魅力を際立たせていることに気付きました。声のない世界だからこそ、プレイヤーは音楽やビジュアルに没入し、キャラクターたちの感情を想像する余地が生まれるからです。
水没した魔女の森、不気味な巨大墓地、荘厳な王城、地下の禁じられた汚染領域──。各ステージには、悲劇的で美しい世界が広がっています。
音楽を手掛けるのは、音楽制作集団「Mili」。彼らは「Deemo」の人気曲「Nine Point Eight」などで知られていますが、本作でもその才能を存分に発揮しています。全編を通して流れる美しくも物悲しいピアノの旋律が、「エンダーリリーズ」の儚い世界観を見事に彩っています。
本作のテーマは「滅びと再生」「喪失と希望」。ストーリーは、各地に遺された手紙や手記を通じて少しずつ明らかになっていきます。
最初に戦うボスは守り人のシーグリッド。戦闘中に流れる悲しげなBGMに、思わず戸惑ってしまいました。
「こんなに切ないボス戦があっただろうか……」。
苦闘の末に彼女を浄化し、祈りを捧げて穢れの苦しみから解放すると、彼女の記憶を垣間見ることができます。
「シーグリッドは白巫女リリィを守るため、聖堂で敵を待ち受けたが、終わりのない戦いの末に狂気に飲まれてしまった」──。
スキル取得時に語られる短い文章が、心を締めつけます。
本作のこだわりは細部にまで及んでいます。たとえば、主人公のグラフィック。最初は純白の髪と肌を持つ彼女ですが、浄化を繰り返すうちに、髪や肌が煤け、肉腫が生じ、瞳の色も青から赤へと変化していきます。
「この先、一体どうなってしまうのか……?」
先の展開を知るのが怖くて仕方がありませんでした。
[Good] アクションの歯応えや奥深さ
本作のアクションは、難しすぎず簡単すぎず、絶妙なバランスに調整されています。
個人的にはボス戦より雑魚戦の方が手強く感じましたが、レストポイント(復帰地点)が多めに設置されていて、デスペナルティもないため、初心者にも配慮された設計になっています。また、主人公の「リリィ」は、6種類までセット可能なスキルを駆使して戦います。最終的には剣や魔法など26種類のスキルが使用可能で、リーチの長い攻撃や誘導性能を持つものなど、多彩な戦闘が楽しめます。スキルの組み合わせを試行錯誤しながらステージを突破する面白さもありますよ。
革命的だと感じたのは、未探索エリアが一目で分かるマップデザイン。青色は未回収アイテムのあるエリア、オレンジ色は踏破済みエリアと明確に色分けされています。新しいスキルを入手した際に未探索エリアを再訪することで、攻略がスムーズになる点がとても親切だと感じました。
アクション要素も充実しており、序盤は2段ジャンプしかできませんが、物語が進むにつれてワイヤー移動や壁登りが解禁されます。思いがけない場所に登るとアイテムが見つかることもあり、最後まで探索の楽しさが途切れませんでした。マップの構造は、まるで2D版の「DARK SOULS」のように精巧に作り込まれており、その完成度には思わず感嘆しました。
[Bad] 2周目以降の報酬(実績)がない
全体的に完成度が高く、目立った不満点はほとんどありません。
強いて挙げるとすれば、狂い騎士ウルヴへの行き方が分かりづらい点と、2周目以降のコンテンツに実績が用意されていない点でしょう。
私は最初のエンディングを迎えた後に狂い騎士ウルヴと戦いました。これからプレイされる方は、じっくりと探索することをおすすめします。また、2周目以降のコンテンツに実績がない点については、人によって意見が分かれるかもしれませんが、私はやはり欲しかったです。
※ 2周目以降のコンテンツ自体は充実しています。ただ…報酬(実績)がないのが残念でした。
[総評] 奇跡の完成度の国産メトロイドヴァニア!
24時間プレイし、実績コンプリートまで到達しました。
最初のエンディングまで約8時間、すべてのエンディング(合計3つ)を見るまで約18時間、実績コンプリートまで約24時間でした。
■ こんな人にオススメ!
・アクションゲームが好きな人
・メトロイドヴァニアが好きな人
・国産の神ゲーをプレイしたい人
本作が高評価を得ていることは事前に知っていましたが、ここまで素晴らしい作品だとは思いませんでした。しかも、国産という点が最高です。和ゲーも世界と互角に戦えることを改めて実感させてくれました。
本作を開発したのは「元ネバーランドカンパニー」のスタッフ。「エストポリス伝記」「ロードス島戦記 邪神降臨」「風来のシレン外伝 女剣士アスカ見参!」などを手掛けた職人集団と聞けば、ピンとくる方もいるでしょう。
わずか2人から始まり、オリジナルタイトルをリリースするまでに10年近い歳月をかけたとのこと。
「Binary Haze Interactive」の渾身の処女作「ENDER LILIES: Quietus of the Knights」の完成度があまりにも素晴らしかったので、今回レビューさせていただきました。美しくも儚い世界を、あなたも旅してみませんか?
2025年1月22日には続編「ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist」が発売され、早くも高い評価を得ています。どこかの機会で遊んでみたい!
総評:★★★★★
シナリオ:★★★★★
ゲームシステム:★★★★☆
サウンド:★★★★★
悲哀感:★★★★★
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