[ゲームレビュー] WILL – 素晴らしき世界 – / 手紙のテキストを入れ替えることで運命を変えることができる神様が綴る群像劇。

2019年1月30日

ゲーム紹介(WILL – 素晴らしき世界 -)

「神様、どうかお助けください……」世界中から届く、神様への願い。主人公の少女は、手紙のテキストを入れ替えることで運命を変えることができる神様。「街 〜運命の交差点〜」と「428 〜封鎖された渋谷で〜」に影響を強く受けた中国生まれの群像劇ゲーム。

・配信日:2018.11.15(Nintendo Switch版)
・価格:1,480円(税込)

・ジャンル:アドベンチャー / パズル
・開発、販売:WMY Studio / PLAYISM
公式サイト

 

良かった点

■ 本来のADVゲームで見られるような選択肢によって物語が変化するのではなく、手紙のテキストを入れ替えることで運命を変えるという発想が良い(ただしこれは微妙な点でもある)。

こんな感じで手紙のテキストを入れ替えることで登場人物の運命が変わり物語が進んでいく。

別の登場人物の手紙と文章を入れ替えして物語の結末を変えることも可能です。

■ 神に救いを求める魅力的な登場人物達。女子高生、貧しき画家、新人刑事、アサシンねーさん、悲しき迷い猫、サイコパス野郎など多種多様。

個人的に好きなのはナチュラルにストーカー気質を持った天才ハッカーでありヲタクのジミー。そのコマンドは八稚女じゃないぞ!ジミー!

彼は最初こそ好意を寄せる女の子のためにテニスを始めるという健気な展開でしたが、最終的にはサイコパス野郎に命を狙われ色々と散々な目に遭う展開に。彼には幸せになって欲しかった (ρ_;) 

ちょ ( ゚д゚) そこでテキスト入れ替えかい!中国で「KOF97」が人気だっていう噂は本当だったのね!

■ 美麗なイベントCGや心地よいBGM

どちらでもない点

■ 文中にルビがないので、登場人物の名前が覚えにくい。翌日プレイする時は名前を思い出すところから始まる。楊穎(ヨウ・エイ)、文櫂人(ブン・カイレン)、李雯(リ・ウェン)、、、すぐ覚えれます? (∩∀`*) 翻訳する際にルビも欲しかったよPLAYISMさん。

■ 可愛らしいタイトル画像とは打って変わって物語が全体的に重くて暗い。そして基本的に救いがない。もっと登場人物の運命を変えてみんなの笑顔が見れて私も幸せ ( ' – '*) …なゲームだと思っていたよ(まぁ、「重松 清」の「疾走」が読める人には問題ないだろう)。

個人的には「レイジングループ」より余裕で凄惨な描写(人体欠損など)があってエグいと感じた場面が多々あったので、そういうのが苦手な方はご注意ください(ちょっとだけアッー!な展開もある。開発者は女性なのですねぇ)。

微妙だった点

■ 「手紙のテキストを入れ替えることで運命を変える」という素晴らしい発想が完全にゲームの面白さへと昇華できていない。最初の頃は手紙のテキストの入れ替えも整合性が取れていて面白いが、すぐに面白さは失われ、ひたすら総当たりをする作業プレイとなる。「真面目に考えるのではなく、総当たりしてどんな結果になるのかを楽しむ」という意見もあるが、個人的にはその選択しかプレイヤーとしては選択肢が残っていない事が問題ではないだろうか。

■ 無駄にシステムが複雑な点。最初はシンプルですが、物語を進めるにつれ段階的に複雑になっていきます。ヘルプは親切ですが、正直ここまで複雑にする必要があったのかなと感じた。

■ プレイヤーに対して不親切な点がある。特定の場所であえて悪い結果としないと物語が進まないが、説明されてもよくわからない。

特にこの場所は多くの人が困ったのではないだろうか。エンディングを簡単に切り替えれるのは便利ですが、何がどう変わったのかわかりづらいし、説明を聞いてもよくわからないしで、プレイヤーに対するリードが不十分だと感じました。もったいない。どうしてもわからない方は「[攻略メモ] WILL – 素晴らしき世界 –」に備忘録を残していますので参照ください。

■ プレイ中、何回か少し前の文章を読み直したかったけど、バックログ機能がなかった。

総評(★★★☆☆)

レビュー時点でのプレイ時間:約10時間。ゲームの特徴として「パズルと物語が融合した、まったく新しいアドベンチャーゲーム」とありますが、そこまで融合していたかと言われると φ(・ω・`) うーん。

総合的には高いレベルでまとまっている作品だと思いますが、手紙のテキストを入れ替えることで運命を変えるという発想が完全にゲームの面白さへと昇華できていない点と、UIの不便さが気になってしまい、、、最終的にはこの評価。素材は素晴らしいが調理方法が少し失敗したパターン。開発者は「逆転裁判シリーズ」が好きだと言っているが、なぜあの作品が裁判という堅苦しいテーマであるにも関わらずあそこまで爆発的に人気が出たのか、もう少し考えて欲しかった(完全に余談となるが「逆転裁判」とは対極に位置する「有罪×無罪」が個人的には最高にオススメだ)。

やはりゲームシステムとUIは作品の面白さに必要不可欠な要素であることと、「街 〜運命の交差点〜」や「428 〜封鎖された渋谷で〜」は本当に凄かったのだなぁと改めて思いました。

どうしても残念な要素が目について批判的な内容になってしまいましたが、値段も1,500円とお手頃でプレイ時間は約10時間(全てのバッドエンドはまだ回収できていないので、コンプするならもう少し時間がかかるでしょう)、総合的には非常に満足できた作品でした。あとSteamのおすすめしませんのレビューに対して開発元から返信してるの初めて見ました。ちょっと怪しい文章ですが、言いたいことは伝わって微笑ましたかったので、私はオススメに一票ですね σ(´~`*) 

そこはきっと、素晴らしい世界?

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