[ゲームレビュー] GRIS / どこを切り取っても美しい「Gris」の世界。まるで「フェデリコ・フェリーニ」の映画を観た時のような感動体験は、一人の少女の再生と共に儚く消える。

2019年1月25日

ゲーム紹介(GRIS)

スペインのアーティスト(Conrad Rosetさん)とスペイン出身のゲーム開発者が贈るアクションアドベンチャーゲーム「GRIS」。自分自身の世界に囚われた女の子の世界を色鮮やかなアートで描く。

ロゴ画像

・配信日:2018.12.13(Nintendo Switch 日本語版)
・価格:1,780円(税込)
・ジャンル:アドベンチャー / アクション / パズル
・開発、販売:Nomada Studio / Devolver Digital
公式サイト

 

良かった点

■ どこを切り取っても美しい「Gris」の世界。この美しさはもはやゲームという概念を超えてしまっていて、とても言葉では言い表すことが私には難しいレベル。まるで「フェデリコ・フェリーニ」の映画を観た時のような感動を体験しました。

 冒頭のワンシーン

冒頭のワンシーン。水彩画のようなアートで彩られる「Gris」の世界。

 崩れ落ちる世界

突如、その美しい世界は音と共に崩れ落ちてしまう。

 見上げるGRIS

少女は声ばかりか、色さえも失ってしまう。透明感を感じさせる「Gris」の髪の色だけが際立って目を引きます。「GRIS」は自分自身の世界に囚われた少女の世界を放浪する作品です。物語開始からここまでで約3分、もうこの時点で私の心は「Gris」の美しい世界に囚われてしまった。

 無彩色で彩られた世界

無彩色で彩られた「Gris」の世界。その美しさは一見すると「フェデリコ・フェリーニ」の「」のようだが、「8 1/2(はっか にぶんのいち と読みます)」のような、どこか少女の悲しげな心情や苦悩を感じさせる。

 星のような光

色が失われた世界で「Gris」は星のような光を集めて道を切り開いていく。

 色を取り戻す瞬間

そして物語が進むにつれ「Gris」は一つずつ失った色を取り戻していく。それまでモノクロだった「Gris」の世界が彩られた瞬間の感動は、もう言葉では表現できないぐらい美しくて、、、それまでスクリーンショットを撮っていた私が手を止めて、無意識のうちに動画を撮ってしまったほどです(この時、動画に対応している事を知る)。

上の映像を観ていただければ少しだけ伝わると思いますが、映像だけでなくサウンド面も素晴らしいです。サウンドは同じスペインの「Berlinist」というバンドが担当しているとのことですが、美しくも儚い「Gris」の世界を主張は控えめだけど、鮮明に目に焼き付くよう表現してくれている。

 

※ 2018/12/23 追記
■ 挑戦の実績名がキューブラー・ロスの死の受容過程の5段階(否認→怒り→取引→抑鬱→需要)で表現されていること。どれも条件が難しいので初見のプレイでは気付けない可能性が高いですが、それぞれの過程の意味などを知ったうえでプレイすると、また違った物語の捉え方ができるかもしれません。偶然かもしれませんが、この人が書いた本を見たら表紙が蝶々だった。そういえばゲームでも何度となく登場したな。調べてみると蝶々は「死」とは密接な関係にあるようだ。キリスト教ではチョウは復活の象徴とされているみたいだけど、スペインってなんだっけ・・・と必要最低限な説明しかないゲームだからこそ、色々と考えれるのは楽しいですね。

どちらでもない点

■ ゲーム性は低い。戦闘要素やゲームオーバーみたいなものは特に無い。

 砂嵐

物語が進むにつれて「Gris」が纏うドレスに不思議な力が宿ることで新しいアクションが可能となりますが、そのアクションを使った簡単なパズル要素があります。

 崩れそうな足場

ドレスをブロックに変化させることで強風に耐えたり、重さでヒビの入った足場を壊すことができる。

 ボスっぽい鳥

ボスっぽいものと戦闘のようなシーンもありますが、戦闘ではなくあくまでパズル。色々と考えさせてくれて楽しかった。

微妙だった点

■ この作品に私のような素人が注文をつけること自体がおこがましいですが、気になった点は2点。

それでもやっぱり何かゲーム的な要素が欲しかったというのが1点目。3時間というプレイ時間は短いとは思いませんが、何か特定の条件を満たすと結末が変化する・・・みたいなものは欲しかった。

※ 2018/12/23 追記

ちゃんとありました。過去の子供時代の記憶を蘇らせるエンディング 。゚(*´□`)゚。 めっちゃ感動しました。どんな内容なのか気になる人の為に攻略(GRIS 攻略メモ part5 – 見逃した場所と挑戦)にワンシーンだけスクリーンショットを載せておきました。ネタバレを気にしない方はどうぞ。

 孔雀に歌を聴かせる

孔雀たちに「Gris」の歌声を聞かせると羽を広げるので、これは何かあると期待したのですが・・・。

 歌で花が開く

2点目は私には終盤の世界観が微妙だった点。「Gris」の歌声で花の蕾が開いて、それが足場になるとか、、、美しいですよ。でも、何か違うんだよね φ(・ω・`) うーん、、、と思いながらクリアしました。

ちなみに他サイト(IGN JAPAN)では「感覚的な話になってしまうが、調和があまり感じられなくなってしまった終盤」と表現されています。それだよ!それ!私も同じ感覚だ。

※ 2018/12/19 追記
攻略を作成するために自分のプレイを見直してみたら微妙だと感じた終盤の世界観もそこまで悪くなかった。たぶん上下反転などのギミックで道に迷ったりして煩わしさを感じたことから「GRIS」の魔法が解けてしまったのだろう。あと余談ですが、スペイン語で「GRIS」とは「灰色」を意味する言葉のようです。UI翻訳者の方がTwitterで言われていて勉強になりました ( ‘ – ‘*) 

総評(★★★★☆)→(★★★★★)

レビュー時点でのプレイ時間:約3時間 → 10時間以上プレイ。美しさとは何かと考えさせられた作品。私にとって「GRIS」は前半は間違いなく「道」や「8 1/2」だったが、物語終盤で「フェリーニのアマルコルド」にはなれなかった。そこだけが残念でならない。そんなことはなかった。

※ 2018/12/23 追記
上の発言、取りやめます。評価も★★★★☆から★★★★★へ変更。言葉も文字もないのに、こんなにも深く心を揺さぶられるとは思わなかった。

 歌うGRIS

やはり目に入ってくる色の情報が少ないからこそ、新しく加わる色の美しさが際立つ。この絶妙なバランスが最高なのだ。そう考えると様々な色が使われ過ぎた終盤は私には少し冗長だった。もっと短かったら気にならなかったかもしれない。

3時間1,780円を高いと思うか安いと思うかの価値観は人それぞれですが、ここまで読んでみて「GRIS」の世界観に少しでも興味を持った方は騙されたと思って購入して、その美しくも儚い世界を旅してみてください。物語終盤が良ければ★★★★★にしていた、紛れもなく素晴らしい作品です。結末の迫力には圧倒されますよ (*´∀`) 

この鳥は可愛くて好き。

その他のコンテンツ

GRIS 攻略メモ part1 – 緑色を取り戻すまで
GRIS 攻略メモ part2 – 青色を取り戻すまで
GRIS 攻略メモ part3 – 黄色を取り戻すまで
GRIS 攻略メモ part4 – 最後まで
GRIS 攻略メモ part5 – 見逃した場所と挑戦
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